本記事は2019年に書かれた記事です。ChatGPTや生成系AIが無い自体に書いた記事となります。2024年現在では当てはまらない位、AIと呼ばれるものの進化は目覚ましいです。2017年から2019年当時は、空前の偽AIブームで、右も左もAIを謳ったスタートアップやサービスが横行していました。本記事については時代にそぐわないため、消すことも考えましたが、あえて残しておこうと思います。
機械学習に精通しているエンジニア同士で昨今の”AI”という言葉の使われ方についてよく話題になる。AIの誤用が目立つためだ。
1960年末に微分方程式を瞬時に計算するのを人工知能(AI)と呼んだ時代があり、暫くするとそれを人工知能とは呼ばなくなった[1]。2019年、令和時代となった現在、再び方程式を解くプログラムはAIと呼ばれはじめた。最小二乗法で解いて導いたものさえ”AI”と表現する。これはあまりにも酷い。一体何が起きたのか。
AIとは人工知能、考えるコンピューターであるはずだ。ある部分を計算処理するだけのプログラムはAIとは呼べない。全体を理解し処理できて始めてAIとよべる。例えば、人の声を音声理解(自然言語理解)、或いはレシートなどの画像を見せて、コンピューターが”それ”を自動的に判断して”適切な処理”を実施する仕組み、この全体処理でAIと呼ぶ。(厳密にはこれでも弱いくらいだが。。)人間がコンピューターを使って得た結果をひっさげて「これはAIで導き出しました」と言っている姿は、1960年代に戻ってしまったのかと思う。1960年末に微分方程式をといたプログラムをAIと呼んだのは、技術者たちが仕組みを理解せずコンピューターが式を理解して解いたと誤解したためだ。つまりアルゴリズム(仕組み)を知らなかった為で、雑に言えば無知だった。現在、多くの会社がAIというワードを利用するのも、経営陣がコンピューター(サイエンス)を知らなすぎること、無知である事に他ならない。
それにしても何故ここまでにAIというワードがこれほど乱発されるのか。それは顧客の信頼を得たかったり、投資家から資金を調達したいからだ。
AIは完全にマーケティングワードになっている。ライバル会社たちが一斉にAIと言い始めれば、AIという言葉を使わざるを得ない。「あれはAIとは呼べない、インチキだ!」と胸を張って言えば良いようなものだが、経営陣がAIを全く理解していないからしょうがない。見栄えをよくしたい会社や技術に自信がない会社は、なんだか解らない”AI”という言葉をWEBサイト上で乱発する。逆に、例えばPreferred networks社など、機械学習や分析技術に明るい会社ほどAIという言葉はむしろ利用していない。意味を分かっているし、技術にも自信があるからだ。
AIを日本語訳すると”人工知能”だが、「知能」の定義は何か。Webster’s Dictionaryでは知能を次のように定義している
- 「経験から学ぶ能力や知識を獲得する能力」
- 「新しい自体が発生したときに迅速かつ適切に対応する能力」
- 「問題を見極めてこれを解決するために推論を用いること」
AIを謳う会社は、上記の定義を見比べながら自社製品が本当に”知能”をもっているか再考してほしいものだと感じる。
索引:[1]”偉大なる知恵者”の原理と仕組み、応用をさぐる人工知能